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慢性的な消化器症状を呈する犬おいて胃癌を疑うための臨床検査所見に関する研究

投稿者:武井 昭紘

犬に発生する①胃癌の症状には、②慢性胃炎に伴う消化器症状(嘔吐、下痢、食欲不振など)に類似したものが含まれており、臨床症状のみで①②の両者を区別することは、非常に困難であるとされている。故に、当該疾患を早期発見・早期治療するためには、獣医師が初診時に胃癌を疑うキッカケを作る「明確な基準」の確立が望ましく、その基準に組み込まれる項目を、一般身体検査または一次診療で実践できる臨床検査項目の中から選ぶことが重要であると考えられる。

そこで、コペンハーゲン大学を始めとするヨーロッパの大学らは、臨床上健康な犬、慢性胃炎症例、胃癌症例の3つのグループにて、BCSを評価し、血清中葉酸濃度およびC反応性タンパク質(CRP)濃度を測定して、比較する研究を行った。すると、胃癌を罹患した個体において、有意に低いBCS(4未満)と葉酸濃度、有意に高いCRP濃度(>25 mg/L)を認めることが明らかになったとのことである。

上記のことから、慢性的な消化器症状を抱える犬を診察する際には、BCS・CRP濃度のデータを基に、血清中葉酸濃度の測定を検討していくことが、胃癌を見逃さない獣医療サービスの提供にとって、非常に大切な診断基準となるのではないかと思われる。

本研究によると、8歳を超える個体が、統計学的に胃癌を罹患しやすいそうです

 

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