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あるホルモンと犬回虫の間に存在する関連性を明らかにした研究

投稿者:武井 昭紘

犬回虫は、ヒトに感染すると幼虫移行症(眼症状、皮膚症状)を起こすため、ズーノーシスの病原体として認識されているとともに、妊娠した犬から胎仔・乳仔へと感染する経路も有し、周産期を迎える、または、迎えた犬にあっては、最も警戒すべき病原体の一つになっている。故に、この時期を過ごす母犬の体内における犬回虫の特徴・生活環を、既存の寄生虫学に付け加えるように詳しく解析していくことが、今後の更なる予防医療の発展に重要であると思われる。

そこで、メキシコの大学らは、in vitroで犬回虫の第3期感染幼虫を培養し、プロゲステロン受容体の有無とプロゲステロン存在下での幼虫の運動性について検証を行った。すると、幼虫を構成する細胞から犬のプロゲステロンレセプターの遺伝子配列と100%一致しているフラグメント(PR+)が検出され、プロゲステロン存在下で、免疫学的にPR+と証明される幼虫の細胞の数が増加することが判明し、また、大学らによると、プロゲステロンに曝露された第3期感染幼虫は、有意に太く大きく成長し、運動性がアップするとのことである。

上記のことを基に更なる研究が進めば、妊娠および発情中の個体に特化した犬回虫の予防・駆除方法を確立することができるかも知れない。よって、母体・胎仔に発現する副作用を最少限化し、且つ、ペットオーナーの幼虫移行症を確実に防止する予防薬の開発に期待している。

回虫に感染している母犬からの垂直感染を防ぐ予防法が開発されれば、犬回虫症は激減するかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30633913


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