雄犬には、性別を明確に区別出来る精巣が後ろ足の付け根に認められ、この精巣が「雄らしさ」の象徴となっている。また、精巣は外観だけではなく、ホルモンの分泌によっても、筋肉量を増やし、体格を大きくすることで性別を演出する機能を備えているとも言われる。故に、雄は、精巣ホルモンの分泌や精巣を構成する細胞の異常に伴う各疾患を抱えるリスクも負うことになるため、去勢手術を実施していない個体では、精巣が原因で起きる病気の定期的なチェックが望ましいと考えられる。
そこで、イタリアのパルマ大学は、一般的な動物病院に導入されている超音波検査装置を用いて、精巣の腫瘍、炎症、変性(通常の構造を失う現象)を鑑別する客観的指標について検証した。なお、同大学はによると、血流を色に変換するカラーおよびパワードプラから得られる数値から3つのインデックスを算出することで、上記3つの病変が見分けられるとのことである。
このことから、将来的に、外科手術の選択に迫られる腫瘍の存在を、主観性の強い画像所見(視覚)ではなく、数値として客観的に認識できるようになることが期待される。よって、本研究が、ペットオーナーや新人獣医師にとって、分かりやすい精巣の定期健診法として確立することを願っている。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30106182/