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筋骨格が発達した大型犬における腎不全マーカーの基準値を見直した研究

投稿者:武井 昭紘

大型犬や筋骨格が非常に発達している品種は、全身の筋量が少ない小型犬と比べて、院内にて実施できる血液検査項目の一部(腎パネル)が高い値を示すことが知られている。つまり、実に様々な体格の個体が入り混ざる「犬」という一つの種で、検査項目の数値に参照範囲を設けることは適切ではない場合があると言えるのだ。

そこで、オーストラリアのメルボルン大学は、腎不全を早期に発見できるマーカーである対称性ジメチルアルギニン(symmetric dimethylarginine、SDMA)に着目して、①犬全体の参照値と②筋骨格が発達した大型犬(グレイハウンド)の値における差異について検証を行った。すると、①に比較して、②ではSDMAが有意に高い値を示すことが判明したとのことである。

上記のことから、SDMAの基準値は、筋肉量によって変動すると考えられる。よって、品種または体格(体重)別にグルーピングして、SDMAの測定結果を統計学的に解析し、犬種別の参照値を再設定することが望ましいと思われる。

本研究のようにSDMAの数値が過小・過大評価されてしまうケースについて、一日でも早く、全容が解明されることを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30102411/


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