小動物臨床では、アルファキサロンという神経ステロイド系麻酔薬を麻酔の導入に使用することがあるのだが、一部の獣医師は、当該薬剤で起きる動物の興奮状態を抑える方法について悩みを抱え、注射麻酔薬のプロトコール・用量、外科手術手技、麻酔管理などに改善点を見い出そうとして、施行錯誤を続けているものと推察している。
そこで、前述の悩みを解消するヒントと成り得る研究を、ここに紹介したい。
2018年9月、スペインのムルシア大学は、アファキサロンを使うタイミングに着目して、以下に示す3つのグループに分けた犬を対象に、アルファキサロンの投与に伴う興奮の有無に関する検証を行ったことを発表した。
◆アルファキサロンを使うタイミングによるグルーピング◆
①生理食塩水+アルファキサロン
②ミダゾラム+アルファキサロン
③アルファキサロン+ミダゾラム
なお、同大学によると、上記のグルーピングのうち、①③と比較して、②において犬は興奮しやすいとのことで、おそらく、最も一般的であろう「麻酔薬の投与順」によって、興奮が惹起されていることが判明したと考えられる。
よって、複数の麻酔導入薬を用いる場合は、それぞれの「順番」を意識することが、麻酔薬の副作用を最少限に抑えるために非常に重要なのではないだろうか。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30077556/