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アメリカの学会で発表された日本の製薬メーカーのセフェム系抗生剤

投稿者:武井 昭紘

現在、抗生剤は小動物臨床で最も使用されている薬剤といって過言ではないが、それに伴うように耐性菌の出現と蔓延が起きているのも事実である。更に、世界保健機構(WHO)が悪夢の細菌と称されるカルバペネム腸内細菌科(CRE)に対する有効な抗生剤の開発を視野に入れていることからも明白な通り、獣医療・人医療の臨床現場は、常に新しい抗生剤の流通が望まれる状況に「陥って」しまっている。

そのような背景の中、大阪に拠点を置く塩野義製薬株式会社は、2016年の米国感染症学会にて、CREに抗菌作用を有すると期待されるセフェム系抗生剤として、シデロフォアセファロスポリンという注射薬を発表した。なお、同薬剤は、鉄イオン輸送体(シデロフォア)に結合して細菌の外膜を通過し、菌体内へ入り込む特徴を持っているとのことである。

上記のことから、セファロスポリン以外の既存の抗生剤も、この輸送系を介して細菌に侵入すれば開発当初のような効果を再び発揮できるのではないかという仮説が立てられる。よって、仮説の可否かについて検証を進めていくことが、将来的に、「新薬に依存しない」抗生剤療法の確立へと繋がっていくのかも知れない。

画像はイメージです。
既存の抗生剤の効果をアップさせる抗生剤補助療法が確立されていくことを願っております。

 

参考ページ:

https://www.shionogi.co.jp/company/news/2016/qdv9fu0000011yv3-att/161027.pdf


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