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最新獣医歯科学~犬の歯周病における客観性を高めたデジタル歯石評価法~

投稿者:武井 昭紘

犬の歯周病は、一次診療において比較的よく遭遇する疾患で、口臭、歯肉炎、歯石の沈着、瘻管形成などを総合的に加味して、重症度が判定されていくことが一般的である。しかし、前三者の項目では、診察を担当する獣医師の主観が強く反映することが珍しくなく、ペットオーナーおよび経験の浅い獣医師にとって、重・軽度を理解したり、イメージすることが非常に難しいという現状が否めない。

そこで、イギリスのウォルサム研究所ペット栄養センターは、オランダに拠点を構えるInspektor Research Systems社がリリースしているquantitative light-induced fluorescence (QLF)という装置を用いて、歯周病の犬が抱える歯石の定量評価と歯磨きの重要性について解析を行った。なお、QLFは、デジタルカメラのようなツールで歯牙を撮影し、細菌の活性、歯垢、歯石を色で視覚化して、その面積の算出にて数値化するシステムで、同研究所によると、客観性の高いデータが得られるとのことである。

上記のことより、QLFを基に、一般的なデジタルカメラを使った歯石評価法が確立されれば、客観性のみならず、再現性も高い獣医歯科学が実現し、且つ、誰しもが実践しやすく理解もしやすい歯科診療が提供できるようになるものと思われる。

歯周病の程度を数値としてカルテに記載すれば、新人獣医師・動物看護師でも経過を追跡しやすいのではないでしょうか。

 

参考ページ:

https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0898756418786018


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