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小動物臨床における労働環境と真剣に向き合うイギリス獣医師会

投稿者:武井 昭紘

ヒトが抱える悩みの大部分には、「複雑な人間関係」が関わっていることが多く、これを原因にして体調を崩したり、人生が変わることさえも起きてしまうことは、ご存知の通りである。つまり、仮に、小動物臨床において、前述のような深刻な悩みが誰かに生ずれば、おそらく、そのヒトは想像を遥かに超える莫大なストレスを抱え、離職が頭をよぎるのかも知れない。これを、大きな市場である動物医療業界から見ると、動物の命を救える獣医師・動物看護師という貴重な存在を、一つ、また一つと失い続けるといった「誰も得をしない事態」に陥っているようにも思えるはずである。

故に、獣医学と肩を並べるほどに「労働環境」の研究は重要だと言え、実際に、イギリス獣医師会(BVA)は、動物病院における離職・休職理由をウェブページに掲げ、今後も研究を進めていくことを発表している。なお、当該理由の概要を述べると、①自己肯定感が低下し、②貢献感情が満たされることなく、幸福度が落ち込み、職場でのモチベーションが維持できなくなるとのことである。

よって、上記のことから、①人間否定(自己否定感)に繋がり兼ねない注意・叱責は避け、②「ありがとう」または「助かったよ」を多用して貢献感情を満たし、職場の雰囲気を改善することが最も簡便で、すぐにでも取り組める環境整備なのだと思われる。

~職場の人間関係や労働環境が苦痛となっている方へ~
自分の体調を崩してまで、やり遂げなければならない仕事は、この世には存在しないことを忘れずに、完全に燃え尽きる前に休養を取って頂けますと幸いです。

 

参考ページ:

http://www.exeter.ac.uk/research/newsandevents/news/title_691468_en.html


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