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犬のアトピーに対する免疫学的療法の一つにアメリカで特許が認められる

投稿者:武井 昭紘

犬のアトピーは、生体内外の要因が複雑に絡まり合い、特に、一次診療の獣医師を悩ませる非常に難解な病態を形成するため、大学も含めた臨床家における注目度が高い皮膚疾患である。故に、当該分野の研究は盛んで、IL-31に対するワクチン製剤新規外用薬の開発・検証(ラクトフェリシン)、ヒトのニキビ治療薬減感作療法の効率化など、多角的なアプローチによって、犬のアトピーは解析されており、いずれも新たな治療法の開発が期待できるものとなっている。

そのような背景の中、IL-31をターゲットとした治療に大きな進展が予想される出来事がアメリカより齎された。

「抗IL-31抗体の特許承認」

昨年の10月末、製薬メーカーKindred Biosciences社が発表したもので、FDAが抗IL-31抗体(名称:KIND-016)に対する特許申請を承認したとのことである。

なお、IL-31は、前述の通り、ワクチンが製品化されるほどに犬のアトピーに深く関与しているサイトカインとされており、仮に、KIND-016が商業ベースにのれば、動物病院の皮膚科診療に、また一つ、ペットオーナーが検討できる選択肢が増えるため、今後の動向に注視していきたいと思う。

アトピー用ワクチンにアレルギーが出てしまう症例に対して抗IL-31抗体を適応するなど、一次診療でも取り組みやすいガイドラインが作成されていくことを期待しております。

 

参考ページ:

http://ir.kindredbio.com/phoenix.zhtml?c=252965&p=irol-newsArticle&ID=2374239


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