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連続する各種呼吸器検査の理想的なインターバルに焦点を当てた研究

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床における各種検査は、時折、成書や獣医学セミナーで扱われる理想的な順序どおりには進められないことがあり、これは、オーナーの悩みや経済的理由、獣医師の経験・診療方針、動物の病状など、複雑な諸条件が重なることで起きるような印象を受ける。故に、ベストな流れに乗れなくとも、①先行した検査の影響が、②後続の検査結果を左右しないように配慮することが必要であり、明確な基準が提唱できるのであれば非常に望ましいと思われる。

そこで、韓国の大学は、肺胞洗浄(Bronchoalveolar lavage、BAL)後のX線およびCT検査画像所見の変化について、犬を用いて検証を行った。すると、X線検査では2時間以内、CT検査では24時間以内に、BALの影響が消失することが判明したとのことである。

上記のことより、BALを実施した症例において、画像診断を検討する場合、24時間以上のインターバルを確保すると、所見に及ぼすBALの影響を経時的に差し引けると言えるのではないだろうか。また、①と②の間隔は、多くの新人獣医師が疑問を持つポイントだと推察するため、今後も、多角的な視点から、検査どうしの間隔に焦点を当てた検証が実施されることに期待したい。

新人獣医師が大いに悩むことが非常に多い、肺胞、気管支、間質、血管パターンなどの呼吸器の画像所見についても、数値に置き換えて解析できる客観的評価法が開発されることを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29931791/


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