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VetCompassが導き出したラブラドール・レトリーバーの真実

投稿者:武井 昭紘

ラブラドールレトリーバー(ラブラドール)は、穏やかな性格で、ヒトや動物に対して非常に友好的なカナダ原産の大型犬(30kg前後)であるとともに、不動の人気を誇る品種とされてきた過去を持つ。しかし、近年、2004年から2013年の10年間で、イギリスでの飼育頭数が約30%減少しており、ジャーマン・シェパードフレンチ・ブルドッグの事例を当て嵌めて考えると、何らかの要因によって、ラブラドールは、オーナーが「飼いづらい」と感じる環境または状況に陥っているものと推察できる。つまり、ラブラドールが苦境に立たされているならば、実態解明に挑む必要があると言えるのだ。

そこで、王立獣医科大学とシドニー大学は、症例データベースVetCompassにて、英国内の30000頭を超えるラブラドールのカルテを解析し、以下に示すような事実を突き止めた。

◆VetCompassから見えたラブラドールの真実◆
・肥満となる個体の割合は約9%
・死亡理由の約4分の1は筋骨格系のトラブル
・黒または黄色の被毛を有する個体に比べてチョコレート色(チョコラブ)の個体は、

1.寿命が1.4年短い
2.耳に感染症を生じやすい

 

上記のことから、ラブラドールのブリーディングおよび食餌管理を見つめ直しながら、チョコラブの寿命の短さを追究することが、現状(飼育頭数の減少)を打破する原動力になると思われる。よって、Golden Retriever Lifetime Studyを基にして、ラブラドールの生涯を見守るLabrador Retriever Lifetime Studyを発足し、未来の動物福祉の向上を願うことが、獣医学における急務の課題なのかも知れない。

本研究が、今後、更なる発展を遂げ、チョコラブの寿命が少しでも長くなることを願っております。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/vetcompass/news/chocolate-labradors-have-shorter-lifespan-than-rest-of-breed


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