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大型犬の臆病な個性と遺伝子配列の関連性について解明を試みた研究

投稿者:武井 昭紘

犬は、総じて、ヒトに従順で友好的な性格であると述べられることがあるのだが、一部の個体では①攻撃的な一面が強かったり、②不安を過度に感じやすかったりと、オーナーが深刻な悩みを抱えてしまう特徴を有している場合も珍しくない。この時、①または②に対しての客観的な意見の中に、「しつけの問題」を挙げる方もおられるが、真相(原因)について議論が尽くされている訳ではない。

そこで、中国首都北京の東、数百kmに位置する大連医科大学は、ヒトの「心配」という感情に関わるとされているカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(catechol-O-methyl transferase、COMT)に着目して、大型犬であるゴールデン・レトリバーおよびラブラドール・レトリバーの性格を分析した。すると、犬の性格判定スケールで「臆病」となった個体のCOMT遺伝子配列において、4ヶ所に一塩基多型(single nucleotide polymorphism、SNP) が認められたとのことである。

上記のことから、SNPを有する遺伝子配列に応じて、COMTの酵素活性が異なってしまい、「臆病」という個性を形成することが推察できる。よって、今後、研究が進み、「臆病」な犬の一部は治療対象となる疾患を抱えているという概念と、それを裏付けする再現性の高い治療法が、広く一般に普及していくことを期待したい。

COMTの研究が発展し、「臆病」な個体に合ったペットオーナーの条件も明らかになると、子犬とオーナーのミスマッチは避けられるかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29932467


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