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犬に皮膚病を起こす寄生虫の1種による珍しい事象のケースリポート

投稿者:武井 昭紘

犬は、世界的に高い人気を誇る愛玩動物であると同時に、ヒトとの距離が非常に近く親密で家族のような存在でもあり、食べ物や就寝場所なども共有する方がおられるという話も聴かれるほど、人間社会に溶け込んでいる。故に、両者に共通する感染症、いわゆる、ズーノーシスに対する細心の注意が重要とされており、余り聞き慣れない、ごく稀なケースリポートだとしても獣医療の発展のために広く情報を共有することが望ましい。

今年4月、トルコの大学は、犬の寄生虫性疾患について、ある報告を行った。なお、論文によると、獣医学的に宿主特異性が強いとされる犬のニキビダニが、家庭犬と、そのペットオーナーに皮膚疾患(痒み、丘疹、脱毛、膿疱)を同時期に発生させた後、ペットの症状が改善すると、オーナーの皮膚病変も消失したという事象を経験したとのことで、同大学は、Demodex canisがヒトに感染した珍しい例であると考察している。

上記のことより、今後、類似のケースが更に確認され、報告が上がり続けることとなれば、ズーノーシスのリストにDemodex canisによるニキビダニ症が新たに加わるかも知れない。

人医療および獣医療が協力して、ズーノーシス候補としての犬のニキビダニ症の大規模調査が行われることを期待しております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29933739/


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