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犬の角膜潰瘍における耐性菌の出現リスクの特定を目指した研究

投稿者:武井 昭紘

眼の表面に傷ができる角膜潰瘍は、早期に診断し、病原体の感染を早期に治療することが経過を良好に保つポイントであり、抗菌薬(内服、注射、点眼など)の選択が一つのカギとなっている。しかし、小動物臨床においても、耐性菌の出現が治療成績を大きく左右するため、慎重な処方を実現できる指標を確立することが望ましい。

そこで、タイのマヒドン大学は、角膜潰瘍を罹患した犬(約30匹)の眼の表面から微生物を検出して、種類と薬剤耐性について解析した。すると、約半数の個体からブドウ球菌(有名な耐性菌MRSA)が発見され、動物病院で汎用している抗菌薬に抵抗する能力を備えていたことが判明した。さらに、同大学は、犬の角膜潰瘍症例における耐性菌の有無を予測できる因子にも触れており、潰瘍病変の①幅と②深さがリスクファクターであるとしている。

上記のことから、大規模臨床研究によって、今回の予測因子(①、②)が立証されれば、病変の重症度を数値化して処方薬を選択するという治療ガイドラインが作成できるかも知れない。

耐性菌の出現を予測するガイドラインが、抗生剤の乱用を防止する効果を発揮することを期待しております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29925698/


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