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生理活性物質セロトニンにおける種差の解析から期待する未来

投稿者:武井 昭紘

2014年に発表されたコペンハーゲン大学の論文によると、①健康なキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(CKCS)と②心臓病に罹患したCKCSの多い血小板血漿には、セロトニン(5-HT)と呼ばれる生理活性物質が多く分布しているとともに、①に比べて②の心臓組織内の5-HT濃度が高値を示すとのことである。つまり、5-HTと犬のプロフィール(品種、性別、体重。年齢)に関して研究を進めると、種によって起きやすい病気(好発疾患)の発症要因を解明するキッカケを作ることになるのではないだろうか。

そこで、ヨーロッパの大学らは、500匹弱の臨床上健康な犬9品種を対象に、血液中5-HT濃度を測定した。すると、種間で比較して高値を示したのは、ニューファンドランド、ベルジャン・シェパード、CKCSであることが判明したとのことである。

上記のことから、CKCSの心臓組織のように、他2品種の各臓器・組織における5-HT濃度(あらゆる生理活性物質に置き換えて同様の検討が出来る)と好発疾患の関連性を解析することで、将来的に、5-HTの分布域に応じた品種別の疾患管理やモニタリングプログラムの確立へと繋がっていくのかも知れない。

犬種ごとの5-HT濃度の解析が、新たな治療法の開発へと繋がることも期待しております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29921518


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