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アメリカにおける猫のマダニ寄生例の実態から考える予防医療の盲点

投稿者:武井 昭紘

近年の文献を見ていると、既知の感染症の疫学は流動的で、国内初の発見感染リスクのある範囲の拡大を示唆するデータが後を絶たない。その中でも、マダニが媒介する疾患には、ヒト・動物ともに影響を受けるズーノーシス(人獣共通感染症)が非常に多く含まれていることに改めて気付かされる。故に、小動物臨床におけるマダニ寄生例の実態を様々な視点から分析して、未来の予防医療の発展に活用させていくことが重要であると言えるのだ。

そこで、オクラホマ州立大学とカンザス州立大学は、米国内18州に存在している40を超える動物病院の協力を得て、猫のマダニ寄生に関する以下の事象を確認したとのことである。

◆猫におけるマダニ寄生の実態◆
①10ヵ月の調査で800例弱が発生
②マダニが付着する場所はお腹よりも背中で、頭や首に多い
③マダニの種類によって寄生する季節(月単位)が異なる
④完全室内飼育の猫にもマダニが寄生する

上記のことから、②をもとに身体検査のチェックポイント、③をもとに各地域のマダニ分布に応じた予防スケジュール、④をもとに室内飼育の猫に向けたマダニ予防法について、体系化していくことが望ましいと思われ、特に、完全室内飼育の個体にマダニが寄生する経路を解明することは、急務の課題となっているのではないだろうか。

完全室内飼育の猫が教えてくれるマダニ寄生ルートにはヒトの出入りが関わっているのか否かだけでも、早期に判明することを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29907187


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