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皮膚炎を罹患しやすい猫が抱える病態生理学的変化について解析した研究

投稿者:武井 昭紘

ヒトと同様、犬猫にも皮膚トラブルが起きやすい個体がおり、皮膚が丈夫なペットとの違いについて、獣医学的なアドバイスが届かないほどに深刻にオーナーが悩むことがある。しかし、皮膚疾患に繋がるファクターは多岐に渡る上、大変複雑に絡み合っているため、一つずつ確実に解析し、体系化していくことが重要である言える。

そこで、イタリアの大学らは、皮膚科の治療ターゲットとして注目されているカンナビノイド受容体(CBR1、CBR2)とペルオキソーム増殖剤活性化受容体(PPAR-α)に着目して、皮膚炎を起こしやすい猫の病態生理学的解析を行った。すると、臨床上健康な猫に比較して、罹患猫の皮膚組織には以下に示す特徴があることが判明した。

◆皮膚炎を起こしやすい猫の病態生理学◆
・皮膚の基底膜におけるCRB1の過剰な発現
・真皮におけるCRB2の過剰な発現
・肥厚を伴う上皮におけるPPAR-αの過剰な発現

上記のことから、各受容体の機能または発現をコントロールする薬剤の開発が、皮膚炎を起こしやすいという猫の体質を緩和する一つの解決策となる期待ができる。よって、今後の研究が進展していけば、愛猫の皮膚トラブルについて深く悩む時間を最少限に減らした楽しいペットライフが過ごせるようになるのかも知れない。

薬剤の開発が実現する際には、継続的な投薬が難しい猫のために、少ない投与回数と簡便な投与経路についても併せて研究が進められることを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29920828


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