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犬のニキビダニ症と炎症に関わるサイトカインとの関係を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

犬のニキビダニ症は、痂皮、痒みを伴う炎症を生じる寄生虫病で、症例によって①全身性や②局所性など様々な病変を呈するとともに、二次的な細菌感染などを伴うケーズも珍しくない皮膚疾患でもある。故に、経験の浅い、または、皮膚科以外を専門とする獣医師が、ニキビダニ症と確定診断を下すのに苦慮することがあるため、獣医療の底上げを念頭に置くと、既存の手技とは異なるアプローチに基づく診断法を開発することは、大変有意義と言える。

そこで、ブラジルの大学は、犬のニキビダニ症と炎症に関わる体内因子サイトカインに着目して、研究を行った。すると、臨床上健康な犬および①と比較して、②に分類される個体では、血液中インターロイキン6濃度(IL-6)が有意に上昇していることが判明したとのことである。

上記のことから、②を疑うケースに遭遇した場合に、IL-6の測定が有用であるかも知れない。よって、今後、IL-6と②以外の局所的な皮膚トラブル、例えば、膿皮症との関連性を検証することに加えて、IL-6測定のための院内検査キットの製品化が進むことを期待している。

膿皮症、真菌症、ウイルス性、内分泌性などの皮膚疾患をサイトカインで振り分けられれる鑑別診断法が実現すれば、新人獣医師およびペットオーナーにとって分かりやすい獣医療が実現するかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29907185


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