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ペットの譲渡希望者と里親希望者を繋げるアメリカの動物病院のサービス

投稿者:武井 昭紘

現在、アメリカでは、年間650万匹にも及ぶペットがシェルターへ収容されており、その約3分の1にあたる200万匹以上は、ネグレクト(飼育放棄)が原因でオーナーを失うことが分かっている。また、ペットの安楽死も日本の比ではなく、実に150万匹が犠牲となっている悲しい実情がある。つまり、シンプルに発想すると、シェルターや一般家庭で飼いきれなくなったペットの「受け入れ先」がスムーズに見付かれば、安楽死件数を減少させることが可能であると言える(ネグレクトを減らす施策は別途必要となる)。

そこで、北米大陸の850ヶ所以上に動物病院を構えるVCAグループ(獣医師は4700名以上)は、フィラデルフィアに拠点を置く動物関連組織Get Your Pet社と協力して、里親募集仲介サービスを展開している。なお、同サービスは、個人間でのペットの譲渡を主軸としており、この取引および連絡にかかる不安点・問題点を解消するようなシステム(以下に示す)を採用していることが大きな特徴である。

◆里親募集仲介サービスの概要◆
①公園などの中立的な場所で譲渡・里親希望者とペットが面会する
②双方で話が纏まればペットの無料健診を獣医師が行う
③法的手続きを含めた総費用は一律(犬は99ドル、猫は49ドル)
④③は里親希望者にペットが引き渡されるまで発生しない
⑤一部の地域に限るが③に30日間のペット保険が含まれる
⑥一定条件の里親希望者の③には40ドル分の診療費が還元される
⑦指定店舗(ペット関連)のクーポンを受け取れる

このことから、上記のサービスは、ペットを譲渡したい者、里親になりたい者に優しい制度であるとともに、シェルターの負担軽減も実現できる原動力を持つと思われる。よって、日本でも、全国の動物病院、ペット業界、自治体が参加して類似のサービスを形成すれば、民官揃って、殺処分ゼロへ向けた着実な一歩を踏み出せるかも知れない。

命あるペットの譲渡・引き取りに起因するトラブルが少しでも減るようにシステムが発展していくことを願っております。

 

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