ある国で開発されるも、法律や国内事情により製品化に繋がらない薬剤というものがあり、その薬効の素晴らしさを国外へ訴え、流通させるために権利を譲渡することを「導出」と呼ぶ。
そして、この導出を行った企業は、日本にも存在していることは忘れてはならず、真に優れた医薬品ならば、「逆輸入」によって再評価を検討するべきであると考える。
よって、ある動物用医薬品の事例を紹介したい。
名古屋市(愛知県)に本社を置くラクオリア創薬株式会社は、世界初の犬用食欲増進剤を開発し、アメリカのAratana社へ導出したことを発表しており、昨年、ENTYCE®という名称で、米国内での販売がスタートしている。なお、同剤は、成長ホルモン分泌促進物質グレリンと類似した作用を持つ成分(カプロレリン)であり、グレリン受容体作動薬にカテゴライズされるとともに、液体タイプとなっているため、体重に合せて調整できる特徴を有しており、脳(視床下部)を刺激して空腹感を強める効果を発揮する。
仮に、アメリカにおいてENTYCE®の有効性が立証され普及していくこととなれば、逆輸入が現実味を増してくるはずである。今後、ラクオリア社にて2番目に開発されたカプロレリンが、どのように認知されていくのか、動向に注視したい。
参考ページ: