小動物臨床において、犬猫の腎機能をチェックする際に重要なポイントの一つが、①急性腎障害(Acute kidney injury、AKI)と②慢性腎不全の鑑別であり、特に、①に該当する症例への迅速な対応(早期発見・早期治療)は、腎臓の機能のスムーズな回復にとって大きな鍵であるとされている。しかし、①を診断またはモニタリングするマーカーや指標は非常に乏しく、以前の記事に紹介した通り、これから確立を目指していく発展途上の研究分野となっている。
そこで、②の病態をステージングするためのガイドラインを提唱している国際獣医腎臓病研究グループ(International Renal Interest Society、IRIS)は、①に対するガイドラインの最終案を作成することを目標とし、AKI分類IRIS Grading of Acute Kidney Injuryを公開している。なお、同分類では、CRE、BUN、尿量などにより5つのステージに①を区分することが明記されているため、新人獣医師の皆様は、是非、ご参照頂きたい。
また、今後、この分類に様々なAKI診断基準(またはモニタリングマーカー)が加わることで、①の治療ガイドラインは強固に高精度化していくものと思われるため、「①と②は一体何が違うのか?同じなのか?」が明確になるような研究が数多く報告されることを期待している。
参考ページ:
http://www.iris-kidney.com/guidelines/grading.html