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食道内異物が穿孔を起こす時に関与するリスクファクターと対策

投稿者:武井 昭紘

食道内異物(esophageal foreign body、EFB)は、犬猫で時折発生する消化器疾患で、流涎、吐出、嘔気、食欲不振などを呈し、異物の摘出が遅れた際に食道穿孔を起こすリスクが高まるとされている。しかし、食道に異物が侵入してから穿孔するまでの「時間」や穿孔リスクが「最も高い」異物に関して明確に触れた成書は少なく、EFB全般について概要を纏めて述べていることが多い。

そこで、アメリカの大学らは、約9年間における犬のEFB症例125件を解析して、以下に示すデータを発表した。

<EFBから穿孔に至るリスクファクター>
・釣り針は、他の異物(骨を含む)に比べて約6倍、穿孔を生じやすい
・EFBが釣り針である症例では12時間以内に摘出をしないと穿孔を起こす

また、同発表では生存件数も公開されており、釣り針が原因で食道穿孔となった症例において、入院中に斃死した個体はいないとのことである。

上記のことから、釣り針を飲み込んだ可能性のある犬に遭遇した場合には、①初診日に、且つ、②早期に、そして、死亡率が低い(0%)ことから、③落ち着いて(特に経験の浅い獣医師は)、④正確性を重視して、異物の摘出を試みることが、穿孔リスクを限りなくゼロに近づけるキーポイントになると考えられる。

本文の③は、特に、経験の浅い先生方にご留意頂けますと幸いです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.253.8.1053


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