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NAVTAが提唱する動物看護師という職種に秘められた可能性に関する考察

投稿者:武井 昭紘

以前の記事で述べた通り、動物病院の運営において必要不可欠な絶対条件は獣医師(国家資格保有者)であり、ペットの診察、検査、診断、治療を一手に担う重要なポジションと言える。しかし、獣医師一人で遂行できる業務は極一部に留まっており、安定した獣医療の実現・提供には、必ずと言って良いほど、サポート役の動物看護師(veterinary technicians、VT)の力を借りなければならないということが現実である。つまり、診療業務のうち、「何をVTに任せるか?」によって、各院の診療レベルは大きくアップダウンすると考えられ、ここに、「VTに秘められた可能性」を見い出すことができるのではないだろうか。

故に、日本でのVTの概念を打ち破るべく、本稿の筆を執ることとした。

ところで、前述の執筆理由を達成するために、本稿におけるVTの日本語訳を訂正したいと思う。

VT(veterinary technicians)とは―――――
獣医師の業務をサポートする「看護」を飛び越えて、獣医師と業務を共有する「技士」と捉えることができ、VTは獣医療技士を指す言葉となる。

加えて、VTの地位向上を提唱する米国獣医看護師全国協会
(National Association of Veterinary Technicians in America、NAVTA)は、以下のように幅広い業務を獣医療技士のために開示しており、是非ご参照して頂きたい。

◆NAVTAが考える獣医療技士の業務◆
・分野別スペシャリスト(皮膚科学、眼科学、内科学、麻酔・鎮痛、病理学、外科学、画像診断)
・診療対象別スペシャリスト(犬猫、鳥・エキゾチック、大動物、動物園動物)
・動物行動療法士
動物理学療法士
・動物栄養管理士
・獣医歯科技工士
・動物救命技士

上記以外にも、多岐に渡る獣医療の分野をベースに考えれば、「技士」としての道は無数にあるとイメージして頂けるはずである。

特に、VTを志す学生が卒業後に目標とする分野に改めて向き合ってみると、「就職先を決める」という意味ではなく、生涯をかけて歩むべき進路(方向性)が見えてくるかも知れない。

日本の獣医療に関わる各学会が、獣医師のみならず、認定看護師制度も確立させていくことを願っております。

 

参考ページ:

https://www.navta.net/page/specialties


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