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猫の扁平上皮癌に対する化学療法を高精度化する薬剤感受性試験

投稿者:武井 昭紘

猫の口腔内に発生する扁平上皮癌(Feline oral squamous cell carcinomas、FOSCC)は、全ての腫瘍性疾患の約10%(口腔内腫瘍全体の60%)をも占める悪性腫瘍で、侵襲性が強く、原発病巣に伴う合併症で予後が悪化する特徴を有する。また、治療法の一つとして化学療法が選択されるのだが、薬剤が奏効しない症例も存在しており、克服すべき獣医療の課題が残されている現状がある。

そこで、ミシガン州立大学らは、FOSCCに対する化学療法剤を新たに同定するべく、言わば、扁平上皮癌の薬剤感受性試験を行った。なお、同試験では、FOSCC由来培養細胞を用いて、約2000種類の薬剤を対象にしたスクリーニング検査が実施されており、既存のプロトコールに含まれないDinaciclib(ディナシクリブ)およびflavopiridol(フラボピリドール)が、新しい薬剤の候補に上がっている。また、大学らによると、両者ともに細胞分裂のG1期で腫瘍細胞の活動を止めるとのことで、臨床応用への期待を抱かせる結果となった。

このことから、上記のような腫瘍細胞の薬剤感受性試験は、現在の化学療法をアップデートする手法になり得るのではないかと考えられる。よって、今後、重大な副作用が発覚しなければという前提を置くが、2つの薬剤を基盤にした「FOSCCに対する化学療法の刷新」が実現するかも知れない。

腫瘍細胞の薬剤感受性試験が絶大な効力を発揮するために、in vitroにて化学療法剤の副作用が予想できるシステムの開発も進むことを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30237854


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