ニュース

犬の腎疾患に対するマーカー候補として挙がったC反応性タンパク質

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床が対象としているペットと、ヒトの間には共通言語が無く、個々体が抱える病気の辛さ、痛み、違和感などをコミュニケーションから読み取ることが難しいことは、現場で活躍している先生方が痛感されているポイントだと推察する。故に、前述の「ペットの自覚症状」を客観的データに変換して評価するスケールや検査項目を増やしていくことが重要だと言える。特に、既存の項目を発展させ解釈する方法によって検査項目に幅を持たせることが叶えば、全く新しい未知の項目を開発するよりも、臨床応用までの時間が短く、効率的だと思われる。そこで、一般の動物病院で多用されているC反応性タンパク質(CRP)に関する文献を紹介したい。

ベルギーのゲント大学の発表した文献によると、臨床上健康な犬の尿サンプルを用いて腎障害・腎不全のマーカー候補を決定する研究を行ったとのことで、複数の項目がリストアップされており、その中に、尿中CRP濃度(uCRP)が含まれていた。なお、今回の研究では、健常な個体を対象としていたこともあり、uCRPは検出できなかったと記されている。

しかし、上記のようなuCRPの研究は以前から報告されおり、感染症における有用なマーカーとして期待されていることも事実である。よって、今後、uCRPの有用性を検証する大規模臨床試験が行われ、即座に一次診療で実践できる「近未来の獣医療」としてuCRPが認知されることを願っている。

血液中のCRP濃度を測定する機器で尿中CRPが測定できるかについても、各種メーカーと臨床現場が協力して検証していくことを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30216550/


コメントする