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アメリカの非営利団体が実践する保護動物も里親も探さない殺処分ゼロ運動

投稿者:武井 昭紘

現在、世界各地にて社会問題となっていることの中で、ペットが関わるものは、①ネグレクト(飼育放棄)、②多頭飼育崩壊、③動物保護施設(シェルター)への過負荷などが挙げられる。また、これらを解消するためには、里親となるオーナーを見つけて引き渡すことが重要となってくるのだが、保護したペットが抱える病気や里親候補者の希望条件等により、なかなか譲渡先が決まらず、止む無く保護動物を殺処分するという結果に終始してしまうことは珍しくない。つまり、視点を変えると、シェルターでの収容期限を迎えた(殺処分の決断を下される直前の)ペットを引き受ける組織が存在すれば、③を軽減しつつ、動物の命を助けられる(収容に余裕が出た保護施設は①②を救済)という理論が成り立つ。

そこで、カリフォルニアに拠点を置いて2011年に非営利団体となったKitten Centralは、保護対象の動物も、里親も探さない殺処分ゼロ運動に取り組んでいる。なお、同団体は、別組織のシェルターに収容されてから一定期間を経過した猫を受け入れ、提携機関と協力して課題点(行動、病気など)を克服し、団体指定の里親へ移行するプログラムを計画・実行しているとのことである。

上記のことから、日本やヨーロッパにおける殺処分ゼロ運動も、既存の視点からのみではなく、Kitten Centralのような「殺処分を間近に控えた個体の処遇を再考する」といったアプローチを検討する必要があるのではないだろうか。

殺処分ゼロのために里親を探すのではなく、里親候補者に待機してもらうシステムを導入することが、今後の保護動物の福祉を向上させるキーポイントなのかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.kittencentralofplacercounty.org/


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