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犬の偽妊娠に関するアンケートから見えてきた生理学的な矛盾点

投稿者:武井 昭紘

偽妊娠とは、妊娠していないにも関わらず、母性行動や営巣行動(物を集める)を認める現象のことで、発情から60日以内に出現するとされている。故に、治療法の一つとして不妊手術が挙げられ、多くのWebサイトにも取り上げられる程に一般的な見解となっている。

しかし、これを否定するかのように、イギリスの獣医師を対象に実施されたアンケートが興味深い結果を示したので、以下に紹介したいと思う。

◆グラスゴー大学らによる犬の偽妊娠に関するアンケート◆
①回答者の95%が行動変化(身体検査における異常所見なし)を認めた犬を1年以内に診察している
②①の50%を超える獣医師が「その変化」についてオーナーに掘り下げて訊ねていなかった
③①の約半数が不妊手術を受けた犬の偽妊娠を経験している

上記のことから、犬の偽妊娠の「定義から治療に至るまで」を根本的に見直す必要があるかも知れない。また、本アンケートの結果が、地域・文化的な要因ではないと仮定したら、アメリカ、ヨーロッパ諸国、アジアにおいて同様の調査を行い、犬の偽妊娠の実態を把握することが、「再定義」のファーストステップになるのではないだろうか。

不妊手術をした猫においても、偽妊娠が起きるのかについて調査が行われると、興味深い結果が得られるかも知れません。

 

参考ページ:

https://bmcvetres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12917-018-1493-1


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