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犬が分離不安症になるリスクを上げるファクターについて調べた研究

投稿者:武井 昭紘

分離不安症。それは、犬、特に子犬が自宅に一人で居る時に表面化する。部屋を散らかしたり、家具や壁を破壊したり、過剰に吠え排尿・排便トラブルを生じることがあるのだ。また、異常な行動を示し、徘徊することもあるだろう。「この病気は飼育されている犬の実に50%に見られる」と主張する専門家もいる。果たして、何がキッカケで分離不安症は発症するのだろうか。何か予防法はあるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、RVCおよび慈善団体Dogs Trustは子犬の分離不安症に着目し、イギリスで生後6ヶ月以内の子犬を飼育するオーナーに飼育状況を伺う調査を行った。すると、140名以上のオーナーから回答が得られ、以下に示す事項が明らかになったという。

◆子犬が分離不安症になるリスクを上げるファクター◆
・約47%の子犬で分離不安症が疑われた
・子犬が一人の時に現れる症状で最も多いものは徘徊(約15%)であった
・次いで鳴き声をあげる(約8%)、旋回する(約7%)ことが続いた
・生後16週未満で「部屋の中で一人になる経験」に慣れていないと発症リスクが上がった
・生後16週未満でクレートや部屋の中で一人で一晩を過ごす経験が無いと発症リスクが上がった
・生後16週未満で1晩に9時間以上眠る個体に比べて6~8時間しか眠らない個体の発症リスクは高かった
・生後16週目の時点で叱る、叩く、無視するといった躾を受けた子犬では発症リスクが上がった
・生後6ヶ月の時点で問題行動に対して「かわいがる」反応を示すと発症リスクが上がった
・フードやオヤツを使用して躾された子犬では発症リスクが上がった
・35歳以上のオーナーに比べて16~34歳のオーナーが子犬の分離不安症を経験する可能性が高かった

 

上記のことから、子犬が分離不安症を発症するリスクファクターがいくつも存在することが窺える。よって、発症リスクを上げる飼育方法や躾を避けることが重要だと考えられる。もしも、これから子犬を飼い始めようと思っているオーナー候補の方がおられる場合は、分離不安症を防ぐ飼育方法にチャレンジして頂けると幸いである。

犬種や性別で発症リスクは変動しなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/research/facilities-and-resources/animal-welfare-science-and-ethics/news/new-research-reveals-biggest-risk-factors-for-puppies-developing-separation-related-behaviours


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