ペットフード同様にカロリーがあるオヤツは、犬が1日で摂取する食餌量の一定割合を占め、肥満の原因になっていると考えられている。そのため、「病気である肥満」を防止する観点から、犬が食べているオヤツの量を把握し、体重が増加しないように調整することが重要だと言えるのだ。しかし、この調整は時に困難を極める。なぜなら、そこにオーナーの見解が強く反映されるからだ。つまり、彼らの「オヤツを与える」という行動に込められた想いを認識した上で、その認識に寄り添いつつ対策を考案する必要があるのである。
そこで、ゲルフ大学は、北米で犬を飼育するオーナーにオンラインアンケートを依頼し、「オヤツを与える」という行動について解析する研究を行った。すると、700名以上のオーナーから回答が得られ、以下に示す事項が明らかになったという。
◆犬を世話するヒトの「オヤツを与える」という行動◆
・大部分のオーナーは犬との絆を深める目的でオヤツを与えている
・回答者の40%は愛情表現の一種としてオヤツを与えている
・回答者の30~40%がヒトの食べ物や残飯を与えていた(①)
・①は愛犬が過体重や肥満であるという認識と深く関連していた
・オヤツが1日の食餌量に占める割合は15%だと推定されていた
・オヤツを計量カップで量るオーナーはオヤツの量を管理する意識が強かった(量らないオーナーの約3.4倍)
・回答者の60%は体型を、43%は愛犬の活動レベルをチェックし、オヤツの量を決めていた
・オヤツの量に関して獣医師にアドバイスを求めたオーナーは22%に留まった
上記のことから、オヤツは犬との絆を深め、彼らに愛情を注ぐために与えられていることが窺える。また、オヤツの量を管理するという意識が強いオーナーと薄いオーナーが居ることも分かる。よって、今後、管理をする意識が薄いオーナー、つまりは肥満のリスクを孕んでいる世帯を対象にして、オヤツ以外で絆を深め愛情を示す方法を啓蒙するセミナーやイベントが開催されることに期待している(絆を深めたい、愛情を示したいという想いがオヤツを与えることに転嫁する心理状態の解析が必要かも知れない)。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37393705/