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Pandemic puppies projectが明らかにしたコロナ禍における子犬の購買行動

投稿者:武井 昭紘

新型コロナウイルスが世界へと拡大した2019年末以降、ロックダウンを経験したイギリスでは、多くのヒトが子犬の購入を検討したり、実際に購入したという。そして、これらの子犬を「pandemic puppies」と呼ぶようになった。彼らの運命は数奇である。ロックダウン中の「おうち時間」を穴埋めするかの如く求められ、パンデミック(感染の波)が落ち着いて移動や外出の制限が緩和された時期に、持て余して世話し切れないという理由で手離されるのだ。果たして、pandemic puppiesを購入した人々は、どのように彼らと向き合ったのか。これ以上、不遇を味わう子犬が増えないように対策を講じるべく、それを明らかにすることが重要である。

 

冒頭のような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、パンデミックの最中に購入された子犬の置かれている状況をデータ化する「pandemic puppies project」の一部を公開した。それによると、2020年3月~12月の間で16週齢未満の子犬を購入したオーナーを対象にしたオンライン調査にて、以下に示す事項が判明したという。

◆コロナ禍のイギリスにおける子犬の購買行動◆
・10%以上のオーナーがパンデミック以前に子犬の購入を検討していなかった
・40%のオーナーが「パンデミックが子犬の購入決定に影響を与えている」と回答した
・pandemic puppiesを購入したオーナーの多くは初めて犬を飼うというヒトであった
・また子供が居る世帯が多かった
・pandemic puppiesを購入したオーナーは子犬(同腹仔を含む)を実際に見ない傾向が強かった
・またブリーダーが繁殖に供する犬の健康診断を実施しているか否かをチェックしない傾向が強い

 

もしパンデミックが起きていなければ、数奇な運命に翻弄される子犬は減ったのではないかと思う。また、今(おうち時間が増えたこと)だけを見て、将来(移動や外出の制限が緩和されたのこと)を考えない子犬の購入が多い現状は悲しい限りである。pandemic puppiesの幸せを願わずにはいられない。また、これ以上pandemic puppiesが増えていかないように、責任をもって(あるいは法的に)終生飼養を約束するヒトのみが子犬を購入できる流通システムが確立されることに期待している。

本プロジェクトのオンライン調査では、5500件以上の回答が得られ、うち約4300件がpandemic puppiesに相当するとのことです。

 

参考ページ:

https://www.mdpi.com/2076-2615/11/9/2500


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