ニュース

ニュース

外科手術を受けた自然気胸の犬の転帰について追跡した研究

投稿者:武井 昭紘

犬の自然気胸は、肺に発生したブラやブレブの破綻に伴って胸腔内に貯まった空気が肺を圧迫する病気で、罹患犬の呼吸を困難にして緊急対応を要する状態に陥らせる呼吸器疾患である。故に、外科的に呼吸を楽にする処置を施すことが通例なのだが、処置後に再発する症例が一定程度存在しているのが現状となっている。つまり、その再発の原因を突き止め、再発を防止する方法を考案することが重要とされているのだ。

 

冒頭のような背景の中、北米の獣医科大学らは、自然気胸を発症した犬100匹以上を対象にして、彼らの診療記録と転帰について分析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆外科手術を受けた自然気胸の犬の転帰◆
・中央値で508日の経過を追跡した
・90%の症例が胸骨正中切開によるアプローチを受けている(肺葉切除)
・病変は左右の前葉に最も多く発生した
・13%の症例で再発を認めた(中央値は術後9日目)
・術後30日以内に再発する症例が殆どであった
・再発の危険因子は特定できなかった

 

上記のことから、病変の探索は前葉を中心に実施することが望ましいと思われる。加えて、少なくとも術後30日まではオーナーと緊密に連絡を取る必要があると言える。一方、再発の危険因子が特定できなかったことに関して、大学らは、『病変部が特定できないことが再発に繋がるのではないか』と推測を述べている。果たして、罹患犬が術後に再発する大きな要因とは何か。今後、更なる研究が進められ、そのリスクファクターが解明されることを期待している。そして、再発を経験する犬とオーナーが減っていくことを願っている。

術後30日を超えてから再発した症例は3%であったとのことです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.258.11.1229


コメントする