ニュース

ニュース

性分化疾患に罹患したフレンチ・ブルドッグ6例に関する症例報告

投稿者:武井 昭紘

樽型の胸に筋肉の発達した四肢と大きな頭が付いたフランス原産の中型犬フレンチ・ブルドッグは、世界各地で高い人気を誇る反面、皮膚病、外耳炎、消化器症状(嘔吐、下痢)、呼吸器症状(短頭種気道症候群)、脊髄のトラブル、難産など、実に様々な疾患に罹りやすい品種として知られている。これだけをとっても、獣医師や動物看護師から見ると、「飼育するのは大変な犬」であるように眼に映るのだが、この度、新たに注意を払うべき病気が、また一つ報告されてしまったようなのだ。

なお、報告を行ったポーランドの大学と動物病院らによると、2019年の1年間に、不妊症や生殖機能の低下を伴う恐れのある性分化疾患(disorders of sex development、DSD)を抱えたフレンチ・ブルドッグ6例に遭遇したとのことである。具体的には、症例らは、表現型と核型がメスで、Y染色体の存在を証明するSRY (sex-determining region Y)遺伝子が無いものの、陰核の肥大および尿道下裂を呈しており、精巣を持つ個体や卵巣を持つ個体が混在していたというのだ。

人気が高く、ペットショップでも頻繁に取引されている(つまりは多く繁殖されている)
フレンチ・ブルドッグにDSDが起きていることは、非常に問題であると思われる。繁殖能力の低い個体は、ブリーダーにとって生産性が全く無く、ネグレクト(飼育放棄)の対象となるリスクを抱えていると考えられるからだ。果たして、世界各地で飼育されているフレンチ・ブルドッグにおけるDSDの有病率はどれ程なのか。彼らの福祉を悪化させないためにも、その実態が調査されていくことを願っている。

今回紹介した症例では、繁殖能力に関与するZFY遺伝子が欠如していたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32203972/


コメントする