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CDCが公開している米国内のベクター媒介性疾患における過去13年間の変遷

投稿者:武井 昭紘

蚊、ノミ、ダニが運んでいるベクター媒介性疾患は、人医および獣医療の双方に共通して、患者の生死を左右する力を持つ危険な感染症に位置付けられている。そのため、世界各地で、既存の疫学と新たに判明した事象を総合して、アップデートし続けていくことが非常に重要で、いくつかの記事で触れた通りである(Big Tick Projectイギリスドイツフィンランド)。

前述の背景の中、アメリカの米疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)は、今年5月、過去13年間(2004~2016年)に渡るベクター媒介性疾患の変遷を以下のように公開した。

◆米国におけるベクター媒介性疾患に関するアップデート◆
・報告件数が3倍以上に増加した(約70000件増)
・新しい感染症が9種類追加された
・ベクター媒介性疾患を制御するために組織化されたはずの団体の8割以上が機能していない

このことから、ベクター媒介性疾患に対する防疫策は、ペットの予防医療とは別の視点に立ち、根本から見直すべきであると思われる。例えば、①ベクターを遠ざける(咬まれない)方法の研究、②組織体制の改編、③原因不明とされる疾患の調査システムの確立などを進めていくことが望ましいのではないだろうか。

疫学のアップデートでは、調査終了から公開までの時間を短縮することも、それに続く防疫対策の考案にとって重要であるため、疫学的時間管理術の確立も有意義なのかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.cdc.gov/vitalsigns/vector-borne/index.html


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