欧米を中心に急拡大している「サル痘」について、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は23日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に相当すると宣言した。
記事によると、テドロス氏は記者会見で、緊急委員会では全会一致の結論には至らなかったものの「感染について分からないことが多く、世界中に急速に拡大している」ことなどを宣言発出に踏み切った理由として挙げた。
WHOとして最高度の警告を発し、各国当局に感染拡大防止に向けた取り組みの強化を促す措置だが、強制力はない。WHOの緊急事態宣言は、2020年1月30日に新型コロナに対して出されて以来となる。
サル痘は、根絶された天然痘に似た「サル痘ウイルス」に感染して起きる病気で、サルよりも主にリスやネズミなどのげっ歯類がウイルスを持っており、かまれると感染る。今まではアフリカで散発的に感染者が出る程度だったが、今年に入って欧米で急拡大している。ただし、流行しているのは「西アフリカ型」という比較的弱いタイプ。
感染経路はヒトからヒトへは、主に皮膚と皮膚の接触で感染する。今回の流行は男性同士の性的接触で広がったため感染者の大半が男性だが、女性も感染する。子どもや妊婦は重症化のリスクが比較的高いとされている。
症状は5~21日(平均12日)の潜伏期間を経て、38度台まで熱が上がる。顔や手に発疹が出たり、リンパ節が腫れたりし、2~4週間で自然に治ることが多い。西アフリカ型の致死率はナイジェリアで3%ほどとされますが、先進国では今のところ死亡例はない。
日本でも感染が確認される確認が高く、避けられないと考えられているようだ。
日本では一般の医療機関ではサル痘かどうか判別できません。PCR検査で調べられるため、全国で検査体制の整備が進められています。治療薬は米国や欧州連合(EU)で承認されましたが、日本はまだです。患者が出たら、医師主導の臨床研究という形で、濃厚接触者に予防的に天然痘ワクチンを打つことが考えられます。
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/192602
<2022/07/23 中国新聞デジタル>
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/190507
<2022/07/22 中国新聞デジタル>