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マイクロプラスチックが人獣共通感染症の運び屋に

投稿者:AsaT

微小プラスチック(マイクロプラスチック)が、人獣共通感染症を引き起こす寄生虫も運んでしまうことを、リフォルニア大学などの研究グループが確認した。

記事によると、カリフォルニア大学などの研究グループは、陸上に生息する寄生性の原生生物(寄生虫)がプラスチックに付着することを検証するために実験を行った結果、寄生虫は実際にマイクロプラスチックの表面に付着することを確認。海底に沈むマイクロプラスチックが寄生虫を海底に寄せ集め、底部で暮らす無脊椎動物や魚介類の汚染リスクを上昇させる可能性を示唆しているという。

以前から海へ捨てられるプラスチックが問題となっているが、浮遊するプラスチックがそこに付着した病原体を運び、陸上の汚染源から遠く離れた場所にまで病原体を拡散させるかもしれないのだ。

実験で調べた寄生虫は、哺乳類や鳥類に感染し、トキソプラズマ症を引き起こすToxoplasma gondiiと、水系汚染に伴った集団発生が報告されるCryptosporidium parvum、および人間やイヌ、ネコなど身近な動物に感染するGiardia entericaの3種。いずれも、人獣共通感染症の原因となる寄生虫。これら陸上由来の寄生虫は、海水中にも残留していることから選ばれた。

今回の研究は、世界中でよく使われ、環境中にも多量に漏れ出している2種のポリエチレン製マイクロビーズとポリエステル製マイクロファイバーを使って行われた。実験では、マイクロビーズよりもマイクロファイバーの方に、より多くの寄生虫が付着した。ポリエチレンは日本の廃プラ総排出量の中で最多で、約35%を占めている。世界のポリエステルの年間生産量においては、全繊維素材の半分を占めるほど多い。

この問題について、海洋学者の中嶋亮太さんは、「プラスチックには様々な生物が付着しますので、研究グループの論文にあるように原生生物が付着して運ばれても不思議はないと思います。プラスチックが有害な原生生物の運び屋の1つになり得ることを示していると思います」と話す。

対策としては「河川や海に流出するごみを減らすしかありません」「まず使い捨てのプラスチック製品の使用を減らすのが大前提で、減らしきれない部分をバイオマス素材に置き換えていくことが重要です。プラスチック生産量を下げる必要があります」と指摘。

日常で当たり前のように存在する「プラスチック」とどう向き合うかが問われている。

プラスチックの食品パッケージは、確かに食品の汚染を防ぎ品質を維持することに役立つ。しかし、この便利なプラスチックが感染症の蔓延にも寄与しているかもしれないのだ。


https://www.alterna.co.jp/49081/

<2022/05/27  サスティナブルビジネスマガジンalterna>

マイクロプラスチックが人獣共通感染症の運び屋に(写真と記事は関係ありません)

 


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