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愛媛大 生物環境試料バンク 環境汚染研究 

投稿者:AsaT

愛媛大学の沿岸環境科学研究センターは、化学物質が人体や生物に与える影響を調べ、汚染の実態解明を進めており、世界各地から生物「試料」が集められている。

記事によると、研究を支えるのは松山市のキャンパスに立つ3階建ての建物「生物環境試料バンク(es―BANK)」だ。センターの野見山桂准教授(41)の案内で防寒着を借り、1、2階の冷凍庫に入ると、室温はマイナス25度でまつげが白く凍ったという。

センターの研究の中心は海の生物で、可動式の棚に黄色いミカン箱が整然と並ぶ。箱の中にある保冷バッグを開けると、透明の袋に小分けされた鯨類の内蔵や筋肉が入っている。棚には解剖前のスジイルカやアデリーペンギンが保存されていた。

食物連鎖上位のクジラやイルカは、沿岸に打ち上げられた個体が運びこまれる。陸地の生物も収集し、魚、鳥、哺乳類など、バンクに保存されている試料は約1500種以上。国内でここまで多様な生物を保管している施設は例がないといい、全国の研究者の研究に活かされている。

昨夏、バンクの試料を活用した、ある研究成果を発表。化学物質の代表例であるPCB(ポリ塩化ビフェニール)の霊長類への影響が確認されたのだ。2010年ごろから、バンクには四国地方のニホンザルの試料が多く集まり出し、妊娠していた9個体の胎盤や胎児の脳、肝臓から、PCBと、母体の作用で変化した毒性の強い水酸化PCBを検出した。これまで霊長類の胎児についてのPCB研究はなく、霊長類の胎児からの検出は世界初だったそうだ。

野見山さんはバンクで保管されていたからこそ検出できたとし、「将来の研究のためにも、いま試料を集めて後世に残す必要がある」と語っている。

PCBや水酸化PCBが母体から胎児に移るのは妊娠の早い段階で始まり、脳などに高濃度で蓄積されることが判明。人でも類似のことが起きていると考えられるという。


https://www.asahi.com/articles/ASP1S6VMTP1HPTLC012.html

<2021/01/25 朝日新聞DIGITAL>

愛媛大 生物環境試料バンク 環境汚染研究 (朝日新聞DIGITAL)


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