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犬を手離す(放棄する)理由を解析した研究

投稿者:武井 昭紘

犬を手離す(放棄する)ヒトが後を絶たない。そして、コロナ禍で巻き起こったペットブームが、それに拍車をかけているようである。果たして、彼らは何故、犬を放棄するのだろうか。動物福祉の観点から、また、犬を手離す検討をしているオーナーをサポートするために、その理由を把握することが重要だと言える。

 

そこで、カナダの大学および動物虐待防止協会らは、過去10年余りにおいて、ブリティッシュコロンビア州の30ヶ所を超えるシェルターに保護された犬32000匹以上の処遇を調べる研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆犬を手離す(放棄する)理由◆
・保護された犬の30%強が手離されていた(放棄されていた)
・最も多い理由は①「犬の数が多すぎる」であった
・次いで②住居の問題、③個人的な事情、④経済的な問題、⑤犬の行動に関する問題、⑥オーナーの健康上の理由が続いた
・①と⑤を理由とする保護件数が年々増えている
・④は減る傾向にあった
・子犬、交雑種、小型犬、小~中規模のシェルター出身は①と関連していた
・高齢犬、健康的な犬、中~大規模のシェルター出身は②と関連していた
・子犬ではないこと、大規模のシェルター出身の健康的な犬は③と関連していた
・子犬、健康的ではない犬、メス、大規模のシェルター出身は④と関連していた
・若い大型犬、成犬であること、健康的な犬は⑤に関連していた
・成犬であること、小規模シェルター出身の高齢の小型犬は⑥と関連していた

 

上記のことから、犬の特徴とシェルターの規模が各理由と関連していることが分かる。よって、今後、それらの「条件」に応じた対策を講られること、例えば、子犬の譲渡をするにあたって①飼育頭数や④飼育に遣える資金の確認を実施し、健康的な犬を譲渡するにあたって②居住環境を確認し、⑤保護犬の性格を説明(あるいは試し期間を設けるなど)をし、条件を満たさない家庭には犬を譲渡しないといった取り決めを設けたり、居住環境の整備や資金調達のアドバイスを行うシステムが確立されることに期待している。

①~⑥の割合につきましては、リンク先の論文をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.857634/full


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