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カニッツァ錯視を選択する猫~彼らは主観的に輪郭線を感じ取っている~

投稿者:武井 昭紘

カニッツァ錯視。それは、見えないはずの図形が見えること。周囲に散らばったパックマン型の図形から「描かれていない」三角形や四角形を脳が認識することである。一方、話は変わるが、コロナ禍でリモートワークをして飼い猫の妨害に悩まされている人々が、彼らを大人しくさせる方法をご存知だろうか。作業場(例えばパソコンの傍)に四角い箱を置くという方法を。彼らはそこに入って落ち着き、妨害行為を辞めるのだ。そこで、一つの疑問が浮かぶ。カニッツァ錯視によって出現した四角形を認識した猫は、その中に留まるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカとオーストラリアの大学らは、一般家庭で飼育されている猫を対象にして、カニッツァ錯視の有無とその錯視に伴う行動について調べる研究を行った。なお、同研究では、カニッツァ錯視を①起こすように配置されたパックマン型の図形と②起こさないように配置されたパックマン型の図形のプリントを床に置いて、彼らの反応を動画で撮影したという。すると、調査を最後まで完了した猫30匹のうち、9匹がカニッツァ錯視によって出現した四角形の中に四つ足をキレイに収めて、少なくとも3秒間座り続けたとのことである。

 

上記のことから、猫にもカニッツァ錯視は起きていて、その錯視によって出現した四角形に導かれるような行動をとる場合があることが窺える。よって、『パソコンの近くに箱を置くのは邪魔だな』と思っている猫のオーナーは、カニッツァ錯視を利用して彼らを大人しくさせるチャレンジをしてみると、お互いにストレスなくリモートワークが進められるかも知れないと思われる。

調査に参加した猫は500匹以上に昇るとのことです。フェードアウトしてしまう家庭が減るように工夫された研究を行うと、また新しい発見が得られるかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0168159121001258


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