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犬から新型コロナウイルスが検出された事実に対して見解を示したイギリス獣医師会

投稿者:武井 昭紘

2020年3月4日。
この日は、小動物臨床にとって、最も恐れ懸念していた事態が明らかになった日となった。

『新型コロナウイルスに感染した犬が居る。』

このように発表したのは、香港政府だ。なお、同政府によると、先月、新型コロナウイルスに感染した60歳代の女性が飼育していたポメラニアンから採取したサンプルをPCR検査にかけたところ、弱陽性ながらも、当該ウイルスの遺伝子が検出されたというのである。そして、香港政府と国際獣疫事務局(World Organisation for Animal Health)は、ヒトに感染していた新型コロナウイルスが犬に伝播したと結論付けたのだ。

 

これは、日本で暮らすペットオーナーおよび筆者を含めた動物病院関係者にとって、非常に恐ろしい現象だと正直に思う。だが、この発表を受けて、イギリス獣医師会(British Veterinary Association、BVA)は、以下に示す声明を公開した。

『香港政府の発表に不安を募らせたオーナーたちが、愛犬を飼育放棄しないことを切に願う。』

 

未知のウイルスを恐れ、その拡大を防ぐための用心は必要だと断言できる。しかし、用心が過ぎて、誰か(ペットを含む)の命を粗末に扱うことは、動物福祉及び倫理上、問題ではないだろうか。おそらく、BVAは、失ってからは二度と戻らない命の大切さを訴えている。そう感じるのだ。

南極大陸を除く世界各地へと新型コロナウイルスは広がっている。
その中で、ともに楽しく幸せなペットライフを過ごしてきた「家族」である犬と如何にして向き合うか。
今、まさに、問われているのだと思う。

万が一、「犬にもヒトにも新型コロナウイルスが感染する」ということが世界が認める事実となった時、愛犬との関係性をどうするのかについて真剣に考えて頂けますと幸いです。

 

参考ページ:

https://www.bva.co.uk/news-and-blog/news-article/covid-19-bva-responds-to-report-of-human-to-animal-transmission-in-hong-kong/


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