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狂犬病接種率を低下させるファクターについて解析した研究と対策

投稿者:武井 昭紘

狂犬病は、感染・発症すると100%の確率で死亡する危険なウイルス性疾患であり、年間に6万人に及ぶ犠牲者が出るとも言われている感染症である。故に、シャルル・ニコルの法則に従って、各国で飼育されている犬(母集団)の70%以上にワクチン接種を施すことが理想的とされているが、その目標値に達しないという問題点が、世界各地で発生している現状にある(なお、日本の全国平均では70%強)。

そこで、イギリスのエディンバラ大学らは、アフリカ大陸のマダガスカル島の東に位置するマラウイ共和国の都市ブランタイアにおいて、23000匹を超える犬を対象にして、狂犬病ワクチン接種率を下げるファクターを明らかにする研究を行い、以下に示す事項を明らかにした。

◆狂犬病ワクチン接種率を低下させるファクター◆
・貧困レベルの上昇(生活に困っている世帯)
・住宅密度の上昇
・オス犬、妊娠中・授乳中のメス犬、子犬を飼育している世帯
・犬をフリーローミング(放し飼い)している世帯

上記のことから、狂犬病ワクチンの接種率を維持または向上させるためには、生活困窮者へのサポート、住宅密集地での狂犬病に関するセミナーの開催、オス犬および子犬のオーナーへの教育、所有者不明の犬に対する狂犬病ワクチン接種の義務化などの対策を講じる必要があると思われる。また、狂犬病に関する啓蒙活動のターゲットにする世帯も、列挙したファクターに準じて設定することが重要なのかも知れない。

同研究では、不妊・去勢手術を受けた健康な犬を飼っている世帯のワクチン接種率が高くなることも、公表されております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30819860


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