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<コラム>野良犬・猫の動物病院での対処に関して

投稿者:AsaT

野良猫は目にすることはありますが、野良犬はほとんど見ないことを不思議に思う方がいるかもしれません。

野良犬を見かけない理由として、登録鑑札と狂犬病予防注射済票を犬に着けておく ことが義務づけられており、着けていない犬を行政は捕獲・抑留 し、所有者が確定されない場合、行政はそれらの犬を狂犬病の発症の有無に拘らず、処分することができるとされています。野良猫は動物愛護法で駆除から外されており、見かけることが多いのです。

それでは、野良犬や野良猫が動物病院に運ばれてきたら、どう対処すれはよいのでしょうか。獣医師法 第19条で「診療を業務とする獣医師は、診療を求められたときは正当な理由がなければこれを拒んではならない。」とされています。外傷や骨折、重い病状だと診断されると数十万円かかることがあり、連れてきた人が治療費を負担することになります。

捨て猫は病気(猫風邪―猫ウイルス性鼻気管炎やカリシウイルス感染病、猫クラミジア感染症等)を持っていることが多いので、動物病院は他のペットの安全を考え、安易に対応を出来かねる事があります。病院によっては、混合ワクチンの接種を受けていないと、治療を受付できない所もあります。

動物愛護法35条(都道府県の措置等、犬及び猫の引取りに関して)では、地方自治体は求められた場合は引き取らなければならないことが記されています。36条では負傷したイヌ、猫に関して、所有者が分からない場合は都道府県知事に通報する事になっています。

自治体によっては、負傷動物の治療費助成制度があることも知っておくとよいでしょう。例えば東京都中央区の場合「飼い主のいない負傷した猫の治療費の一部助成」があり、これは治療に対して20,000円を上限として助成するものです。中央区保健局生活衛生課まで連絡し当該推進員が保護し、協力獣医師の病院で治療後に助成申請をするという条件が付いています。

捨て犬、猫の対処としては保健所への通報が主にあります。保健所では保護団体、動物愛護センターに連絡を取る自治体もあります。ペットブームの一方で飼育放棄、野良犬・猫の増加を耳にしますが、動物愛護・治療に関わる獣医師も動物の生存権を守ることについて日頃から考えておく必要があるでしょう。


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<コラム>野良犬・猫の動物病院での対処に関して(写真:PhotoAC

 

 

 

 

 

 


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