福島県では、獣医師の職員募集に対して採用実績が少なく人材確保に苦労しており、2025年度採用には、過去最多となる24人の募集をかけた。私たちの食卓にも直結する獣医師の職員。いま、その確保が急がれている。
記事によると、福島県いわき市の牧場で行われていたのは、ウシの採血検査。担当していたのは、2人の獣医師の県職員。 福島県中央家畜保健衛生所の高山湧太さんは長野県出身で、福島県内の畜産業の復興に携わりたいと2024年4月に採用されたばかりの新人だという。
5年目の蛭田彩子さんは、福島県出身。「ここ最近、鳥インフルエンザや豚熱の対応が増えた。この数年、本当に下がいない状態で新入職員はすごく助かる」と話すように、高山さんの採用を待ち望んでいた。
現在、獣医師として働く福島県職員は87人。その仕事は、私たちの「食」や「生活」に直結し、多岐に渡る。 ウシやブタはもちろん、ミツバチなども含め「食べ物を生産する生き物」の健康管理。鳥インフルエンザや豚熱など、伝染病の拡大を防ぐワクチンの接種や、海外から病気が持ち込まれないようにするための空港での啓発活動など、仕事は多岐にわたる。
県中央家畜保健衛生所・獣医技師の蛭田綾子さんは「病気の根本的な原因を断ってあげることで問題が解決したり、農家さんと何か一緒にこなしたりした時の笑顔とか見ると、すごくやりがいを感じる」と話す。
「安全・安心な生産現場の維持」を目指して、福島県では職員として働く意志がある獣医学部の学生に修学資金を貸与するなど、人材確保を急いでいる。 福島県・人事課の高橋保明課長は「我々が毎日口にするような食材も、一つ一つ獣医師のチェックがなされている。食の安全を担保する獣医師の力というのは、非常に大切」と話した。
獣医師というと、いわゆる「動物のお医者さん」のイメージがあるが、ウシやブタを食肉にするときに病気をチェックするなど、県民の「食」を支える仕事。
全国では毎年1000人を超える人が獣医師国家資格を取得しているが、民間の動物病院や他の自治体との奪い合いが厳しいという状況。 福島県では獣医師募集専用のホームページも設けていて、採用試験の受験資格は新卒から59歳までとなっている。
福島県だけでなく、地方の獣医師の職員は不足しているところが多く、人材確保は急務となっている。
職員が不足すれば、食肉の流通が滞るという可能性も。さらに、伝染病が発生した場合の対応にも影響が出てしまう。私たち消費者も関心をもって見つめていく必要がある。
https://www.fnn.jp/articles/-/697370
<2024/05/12 FNNプライムオンライン>