長崎県は2029年度までの殺処分ゼロを目標に掲げているが、コロナのペットバブルがはじけ、行き場を失った犬猫が増えると懸念されている。
記事によると、長崎市の動物愛護管理センターには現在、犬12匹、ネコ27匹が収容されている(2023年7月18日時点)。その数は年々減っているが、それでも2021年度に長崎県内で殺処分された犬とネコは826匹にのぼり、数・割合ともに全国ワーストレベルだった(殺処分率66.9% 環境省調べ)という。
長崎市動物愛護管理センターの島﨑裕子所長によると、「 どうしてもセンターに収容してしまうと殺処分になる可能性があるので、やはり命あるものなので、極力よほどの理由がない限りは収容を断っている 」と話す。
長崎県は、2029年度までの殺処分ゼロを目標に掲げていて、市や町の保健所では特別な事情がない限り、犬やネコの「引き取りをしない」ことにしている。 また、2013年に法律が改正され、業者からの引き取りについても行政が拒否できるようになった。そのため、「ペットブームの終わり」による売れ残りや廃業した業者が抱えた動物の行き先は不透明になっている。
長崎県内で犬やネコの保護活動を行うボランティア団体「長崎ライフオブアニマル」は、飼い主の死亡などにより行き場を失った犬やネコ、約50匹を上限に保護を続けてきた。 より多くの動物を助けようと2022年12月に新たなシェルターを開設。
さらに20匹ほど収容できるようになったが、今も手一杯な状態が続いている。代表の木村さんは「ある状況」を懸念している。木村代表は「“ペットバブル”がはじけている今、本当に深刻な状態だと思う」と話す。
新型コロナの感染拡大による行動制限で、家で過ごす時間が伸びた2020年以降、ペットを飼う人が増加。それに比例して、販売業者も2019年からの3年間で全国で1,000件以上増えた(環境省自然環境局より)。
ステイホームによるペットブームで、ピーク時は、ペット関連業者の9割以上が黒字を計上していた。しかし、行動制限がなくなるなど生活が元に戻るにつれてブームは落ち着きをみせ、2022年の黒字率は84.5%まで低下した(東京商工リサーチより)。「ペットバブル」がはじけ、経営が立ち行かなくなった業者が増えてきている。
長崎ライフオブアニマルの木村代表は、「売れなくなった子たちがどうなっているのか、行き場がない子がたくさんいる。繁殖犬の中で繁殖させられたのはいいけど、売れずに取り残されている子もたくさんいるのも現実 木村さんは行政では引き取りができず、愛護団体も限界の状況で、行き場を失った動物は遺棄につながりかねない」と訴える。
長崎県だけの問題ではなく、コロナのペットブームが落ち着いてきた今、全国で同様の問題が出てきているだろう。
長崎ライフオブアニマル・木村愛子代表: 緊急性を要する子たちから保護するが、それでも限界がある。保護したくてもできない現実もある。苦しんでいる子たちがあふれかえっている現実は長崎でも同じ。 繁殖業者や販売業者への指導を強化するなど、早急な対策が求められる。
https://www.fnn.jp/articles/-/561985
<FNNプライムオンライン 2023/08/02>
長崎県 コロナのペットバブルがはじけ 行き場を失う犬猫たち(写真と記事は関係ありません)