物価高が日々の家計を圧迫しているが、秋田市大森山動物園でも物価高が経営を直撃し、同園は価格が上昇する飼料の配合を見直すなど対応に苦慮している。
記事によると、ゾウは1日に約100キロの餌を食べる大食漢だ。半分近くは干し草で、その9割は北米を中心とする輸入物を使う。ロシアのウクライナ侵略に伴う世界的な穀物価格の上昇で、干し草の価格は1、2割上がっているという。
26日の昼下がり。飼育員がアフリカゾウの「リリー」に切ったサクラの木の枝を向け、枝先の葉を食べさせていた。同園では以前から園内のサクラやクワの葉、竹、ササをゾウやラクダなどに与えている。飼料費の節約術の一つだが、その量は年々増えている。
国産の肉や野菜も高値が続く。例えばトラには日々、丸鶏1羽と、「胃もたれしにくい」という理由で馬肉を2キロ食べさせている。代用が難しい馬肉は量を減らし、鶏肉を増やすなどして対応している。
チンパンジーには、オレンジやバナナなどの果物と、野菜を交ぜたエサを1日に5、6キロ与える。果物も高いが、白菜など葉物は暖冬の影響などで価格が高騰し、ニンジンや大根など価格が安定している根菜類を増やしている。
同園の飼料費の予算は年間約3000万円。三浦匡哉(まさや)・園長補佐(52)は「動物は食べる量が決まっている。価格が上がったからといって、簡単に量を減らすことはできない。工夫して乗り切るしかない」と話す。
また、暑さに弱いトナカイやウサギ、高冷地にすむレッサーパンダなどの飼育室には、熱中症対策として凍らせた2リットルのペットボトルを置いている。光熱費がかさむ夏に向け、事務所の節電は必須となっており、担当者は「動物の健康状態を優先しながら、できる限りのことをしたい」と話す。
入園料の値上げは、昨年12月の市議会で条例改正案が否決されたが、秋田県外では値上げする公立動物園もある。千葉市動物公園は6月から、中学生以下や市内在住の65歳以上を引き続き無料としながら、大人(高校生以上)の入園料や駐車料金を値上げするという。
同園の広報担当の和田寛之主査によると、運営費が前回値上げをした2016年度よりも15%以上増えたといい、「動物の健康を守るために必要だった」と話す。
来園者からは「仕方ない」や「それでもまだ安い」などと受け入れられている印象があるといい、和田主査は「公立の動物園は入園料を抑えているため、どこも経営が厳しい。同じ悩みを持つ園の気持ちは痛いほど分かる」と話した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240531-OYT1T50069/
秋田 動物園も物価高が経営直撃 節電節約に苦慮(写真と記事は関係ありません)