キーエンスが2018年に設立した財団法人「キーエンス財団」が、2025年3月に卒業を控えた大学4年生を対象に、日本学生支援機構の貸与型奨学金の返済を50%(最大240万円) 肩代わりする新制度を発表したことが分かった。
記事によると、今回キーエンス財団が発表した貸与奨学金の返還支援の対象者は、JASSOの貸与型奨学金の一種・二種を利用している大学4年生。2025年3月に最短修業年限※で卒業する見込みがある者かつ、2024年4月1日段階で23歳以下であることも条件となる。採用予定人数は100名程度だという。
※通常4年間。編入学の場合、3年次から編入学した場合は2年。編入のタイミングから最短の在学期間。
国内の4年制大学の在学者であれば、理系・文系問わず誰でも応募が可能で、他の財団が実施している奨学金との併用の制限や、卒業後の就職先に対する制限もない、かなり幅広い学生が応募できる枠組みとなっている。
一方、対象外となるのは、「通信教育課程及び夜間学部生、留学生」や、「医・歯・薬・獣医学部などで4年制ではない学部・学科に所属している学生」。さらに「専門学校や短期大学生など、学校教育法で国内の大学に位置づけられていない学校に所属する学生」だ。過去にキーエンス財団の給付型奨学金を受けたことがある人も、今回の制度では対象外となる。
なお、1年間休学して留学していたような学生や、大学院に在学して「在学猶予」という学部時代の奨学金の返済が猶予されている制度の対象になっている学生は、年齢制限に引っかからなければ対象内。
返還支援への応募期間は10月1日~11月13日(水)午前10時まで。 応募希望者は上記の期間内に所属大学の情報や成績、奨学金の貸与総額などの情報をキーエンス財団の応募サイトを通じて入力。財団はこの情報を踏まえて予備選考を行い、通過者の間で自己推薦書やゼミ・研究室の指導教官からの推薦書などによる本選考が実施される。
JASSOの調査によると、日本では3人に1人の大学生がJASSOの奨学金の支援を受けて生活している。最近では返済義務のない給付型の奨学金も拡充傾向にはあるが、JASSOの奨学金制度は「貸与型」の割合が多く、ただでさえ賃金の低い20~30代の若者が卒業後に奨学金の返済によって生活を圧迫されている事例もよく耳にする。そのため、人材確保の一環として、就職を前提に奨学金の返済を肩代わりする制度(代理返還制度)を導入する企業も増えている。
キーエンス財団は、2018年にキーエンスが設立した財団法人。キーエンス創業者で現・名誉会長の滝崎武光氏が代表理事を務める。 貸与型の多い日本の奨学金環境を是正すべく、今回の新制度以前にも、在学生1500名を対象とした30万円の給付型奨学金や、新1年生600名を対象にした月10万円・4年間の給付型奨学金(どちらも返済不要)など、奨学金制度を整備してきた。
今回の制度についても、プレスリリースで「大学卒業後に返還義務がある日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金を受給されている学生の方の将来における負担を少しでも軽減できればとの思いから」と経緯を説明している。
<2024/09/24 BUSINESS INSIDER>