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ペットを連れてイギリスに避難するウクライナの難民に対する緊急支援

投稿者:武井 昭紘

国外へペットを連れて移動(移住)する時、原則、移動先の国のルールに基づいて、ペットの個体識別、予防措置、検疫が行われる。そして、その費用の大部分はオーナーの負担となる。つまり、自国で「マイクロチップの装着をしないこと」や「予防接種を受けないこと」が許されていても、移動先の国では「それら」がまかり通らないことがあるのだ。しかし、現在、ウクライナはロシアの軍事行動によって被害を受けている。今すぐにでも避難したい難民と、彼らに飼育されているペットで溢れているのである。

そこで、イギリス政府は、去る3月15日、ペットを連れて同国に避難するウクライナの難民に対する緊急支援策を発表した。具体的には、イギリスへの入国時に求められるマイクロチップの装着や予防接種を、ウクライナの難民が連れているペットがしていない場合、イギリス政府が費用を負担して「それら」を実施するという。無論、検疫に掛かる費用も同政府の負担だ。しかも、この政策は、ビジネスで輸入されるペットの検疫よりも優先されるとのことである。

停戦交渉や人道回廊も虚しく、2500名を超える民間人が犠牲になっているウクライナとロシアの紛争。その終わりは未だ見えない。被害が拡大するとなれば、または、戦況が長引けば、国外へ脱出を試みる難民とペットは増えていくことが予想される。時間も費用も掛かる「通常の」検疫をしている場合ではないということだ。よって、これ以上の犠牲者と負傷するペットが増えないように、難民に向けて検疫制度を緩和する政策が、ウクライナの隣国やイギリスのみならず、世界のあらゆる国で講じられることを願っている。

今後も、ペット飼育可の物件を探す支援など、ペットを連れての避難がスムーズになる政策が次々と打ち出されることを期待します。

 

参考ページ:

https://www.gov.uk/government/news/emergency-support-put-in-place-for-ukrainian-nationals-entering-the-uk-with-their-pets


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