群馬県は2日、前橋市内の養豚場で飼育されている豚がCSF(豚熱)に感染したと明らかにした。県内でのCSFへの感染は、昨年9月に確認された高崎市内の養豚場に続いて2例目。県は5日から高崎、桐生、伊勢崎、太田、渋川、みどりの計6市に応援を要請し、防疫措置の迅速化に努めている。
記事によると、群馬県などは6日、前橋市内の養豚場で豚の殺処分を進め、午後3時までに、殺処分対象の約8割に当たる7971頭の処分を終了。子豚を中心に行ってきたが、親豚の殺処分も進めている。
作業にあたる獣医師や県職員らは緊迫する養豚場で、肉体的、精神的な負担を強いられている。国と県が感染経路の解明を急ぎ、まん延防止策を講じているが、養豚場が集積する地域での発生のため、周辺の農家や住民の不安は根強いという。
殺処分対象は、昨年9月の高崎市内でのCSF発生時の2倍近くとなる約1万頭。県は県内外の獣医師や自衛隊、県建設業協会などに応援を要請し、4交代制の24時間態勢で作業に当たっている。
殺処分を担う30代の女性獣医師は「農場の規模は大きいが、衛生的な管理を心掛けている印象を持った」と説明。「機材トラブルや指示者の不足などの混乱は一部であるが、その中でも精いっぱい、かき集めた人員を動かしながら作業できている」と振り返る。
しかし、20代の男性職員は「殺処分の作業には慣れない。体力的に疲れた」と話し、別の20代の男性職員も「臭いもきつく、生々しかった。ハードだった」と話す。
作業従事者の心理的な影響が懸念されており、高崎市での発生時に動員した職員へのアンケートでは、回答者の約9%に当たる56人が心理的な負担が疑われる症状を訴えている。県は今回も従事した全職員にアンケートを行う予定で、「職員のケアに努めたい」としている。
周辺の養豚農家は殺処分の進捗を見守るとともに、ウイルスまん延への警戒を強めるが、同市の別の養豚業の男性は一報を聞き「殺処分される豚の大半は元気なのに」とやるせなさをにじませ、「今回の感染は原因が分からない。今まで通りの対策を続けるしかない」と不安そうに話した。
今回の感染判明について、「かわいそう、なんて言葉じゃ言い表せない」。靴底を介して感染することもあるとして、一般の人は絶対に豚舎に近づかないよう協力を求めた。
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/284969
<2021/04/03 上毛新聞>https://bit.ly/2RfTolt
<2021/04/07 上毛新聞>