新型コロナウイルスによるパンデミックが落ち着いてきた頃に明るみになった、悲しい事実がある。「おうち時間」を利用して飼い始めたペットを手離すための相談が、世界各地の保護施設に寄せられたのだ。ペットとは、持て余した「おうち時間」を穴埋めする道具に過ぎないのだろうか。悲しい限りである。そして、ペットに対する愛は何処にあるのか、甚だ疑問だ。そう、彼らが愛されていれば、このような無責任な飼育放棄は起きないのである。では一体、愛されているペットとは、つまり、「放棄」されないペットとは、どのような子達なのだろうか。これは、彼らの福祉を向上させる重要なテーマだと言える。
そこで、イギリスで犬を保護して里親を探す活動しているDogTrustは、34万名にも及ぶ愛犬家を対象に、愛されている犬に関する調査を行った。なお、対象となった犬の数は約44万匹である。すると、世代を越えて愛されている犬種はラブラドール・レトリバーで、いずれの世代でも第1位であることが判明したという。また、次いで、多くの世代でコッカー・スパニエルが、75歳以上の世代ではジャック・ラッセル・テリアが第2位になっていることが分かったとのことである。
しかし、気がかりなことがある。愛されている犬種TOP10に、同国で人気が高いとされるフレンチ・ブルドッグの姿は無い。それも、全ての世代においてだ。新型コロナウイルスの感染者数が波のように押しては引くパンデミックが起きている世界で、彼らの置かれている状況とは一体。人気はあるも、愛されていないということなのか。つまり、フレンチ・ブルドッグは「愛犬家には選ばれる犬種」ではなく、一時のブームに翻弄されるだけの犬種だということなのか。今後、フレンチ・ブルドッグなどTOP10にランクインしていない犬種の飼育状況について明らかにする調査が進み、飼育放棄が起きない世界へと一歩でも近付くことを願っている。
参考ページ:
https://www.dogstrust.org.uk/latest/issues-campaigns/national-dog-survey/national-dog-survey-results