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ゴリラの新型ウイルス感染から考える「ワンヘルス・アプローチ」

投稿者:AsaT

米カルフォルニアの動物園「サンディエゴ・ズー・サファリ・パーク」で、飼育中のゴリラが新型コロナウイルスに感染していたことが11日発表されました。

大型類人猿への自然感染が確認されたのは世界初で、パーク責任者のリサ・ピーターソン氏によると、6日に数頭の猿が咳をしていたためゴリラの糞便検査をしたところ、共に暮らす3頭が咳症状があり、陽性反応が出ています。無症状の飼育員から感染したものとみられています。

大型類人猿は、霊長類の中でヒトに近い形態を持つ類人猿の中で、小型のテナガザル科を除く生物の通称で、アフリカに生息するボノボ、チンパンジー、ゴリラ、南アジアのオラウンタンの4種でいずれも絶滅種です。特に感染が確認されたニシローランド・ゴリラは頭数が少なく、動物園では慎重に対処しているとのことです。

飼育動物の新型コロナウイルス感染は過去にも感染例があります。2020年4月、米ニューヨークのブロンクス動物園では雌のマレートラが感染。2020年7月にはオランダのミンク農場でクラスターが発生し、数十万匹の殺処分が行われました。国際獣疫事務所の発表ではネコ科動物の感染例が比較的多いとされ、ヒトとネコでウイルス受容体の構造が似ていることが理由とされています。

東大医科学研究所ではネコ同士で感染するケースがあるという研究結果が明らかなっていますが、ネコをはじめとするペットから飼い主への感染例は、世界でも数例しか発表されていません。

コロナウイルスは様々な動物に感染することが知られています。動物からヒト、ヒトから動物へ感染する「動物由来感染症」は、すべての感染症の約半数を占めています。

SARS(重症急性呼吸器症候群)はハクビシン、HERS(中東呼吸器症候群)はヒトコブラクダが中間宿主と考えられており、共にコウモリが自然宿主とされていますが、新型コロナの感染症についてはまだ解明されていません。動物由来感染症は世界中にパンデミックを引き起こし、新型コロナは終焉の兆しも見えていません。

このような中で、私たちも身の安全を図るとともにペットへの安全管理・飼育も考えなければならない時に来ているようです。2020年2月には香港で新型コロナ患者の飼っていた犬からSARS-CoV-2 PCRの陽性確認があり、香港では3月にも犬の新型コロナ感染報告がありました。

新型コロナ対策が進められるなか、ヒトだけでなく動物も同じように健康であるために、衛生管理に関わる人達が分野の垣根を越えて「ワンヘルス・アプローチ」に取り組むときに来ているようです。


<参照元サイト>

「ゴリラにコロナ陽性反応 類人猿の感染確認は初か」<2021/01/12 女性自身>
https://www.excite.co.jp/news/article/Jisin_1939315/?period=1

「ペットなどの動物と新型コロナウィスス」
<2020/05/30 Yahoo!感染症専門医 忽那 賢志氏記事>
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200531-00179356/

「ゴリラだけじゃない飼育動物のコロナ昨春米でトラ感染、蘭ではミンク農場でクラスター」
<2021/01/13 excite >
https://www.excite.co.jp/news/article/SportsHochi_20210112_OHT1T50204/?period=1

ゴリラの新型ウイルス感染から考える「ワンヘルス・アプローチ」(写真と記事は関係ありません PhotoAC)

 

 

 


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