○○商店街。
自宅から最寄り駅へと向かう坂道を過ぎた先にあるそこは、一日の始まりと終わりを教えてくれる存在。
つまり、筆者にとって、
朝は、『さぁ、頑張ろう。』
夜は、『今日、疲れたな。』
など、
日々思う様々な感情を受け止めてくれる場所と言って過言ではないのだ。
あの日は、非常に疲れていた。
仕事の帰り、自粛ムードの中で、休日の過ごし方を模索していた時期だったからだ。
外出が出来ないもどかしさに、暇を持て余すことが決定的となり、『どうしたものかな。』と思いながら商店街を通っていた。
その時、出逢ってしまった。
憧れのあの子に。
前々から気になっていたのだ。
誰にでも愛想が良く、甘え上手で人気者。
可愛いらしい魅力に溢れている相貌には、商店街を通る皆が振り返る。
だから、触れてみたかった。
疲れを感じた体で無意識だったかも知れない。
衝動にかられたのかも知れない。
驚かせないように近付き、手を伸ばす。
触れた瞬間に、あの子は一度ビクッと反応した。
しかし、逃げる訳でもなく、その場にうずくまり、筆者の手に身を委ねる。
震えてはいなかった。
実に可愛いらしい。
5分、10分と時間が流れる。
あの子と筆者が一緒に居る様子を、人々が『可愛い!』と言いながら通り過ぎる。
疲れが飛ぶような感覚になるほどに癒され、幸せな気分だった。
そこで、ふと疑問が浮かぶ。
筆者が触れられるということは、皆がこの子に触れられるということだ。
この柔く手触りの良い毛並みに。
もし、仮に、この子に触れた誰かがCOVID-19を発症していたら、毛を介して、自分もウイルスに感染してしまうだろうか。
目の前に佇む猫の魅力に惹かれながら、少し不安を抱いた。
帰宅して手を洗い、うがいをして、スマートフォンの画面を眺める。
何気なく眺めていたTwitterの投稿の一つに目が止まった。
アメリカ疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)がQ&A形式で、よくある質問に答えているウェブページの紹介だった。
リンク先を覗く。
Q:動物の毛を介してコロナウイルスに感染しますか?
どうやら、多くのヒトが疑問に思うことのようだ。
そして、Qの下に回答が明記されていた。
A:動物の毛を介してコロナウイルスがヒトからヒトへ移る証拠はありません。但し、慎重を期して、動物を触った後は手洗いをしましょう。
少し安心した。
コロナウイルスに感染するリスクが少ないことに。
また、商店街のアイドルに再び触れることが出来ることに。
世界各地でペットのコロナウイルス感染症が報道される中で、上記のように、彼らとの付き合い方を考え、悩む方は増えてきていると察するが、どうか冷静に対応して欲しいと願うばかりだ。そのために、お時間がある時は、公的機関からリリースされる感染症情報に眼を向け、耳を傾けて頂けると幸いである。
参考ページ:
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/faq.html#COVID-19-and-Animals